更年期の髪のパサつき・うねり|髪質が変わる理由と家でのケア

美容師 中村一成
銀座の美容室LUJU代表・美容師15年目
2026年10月13日 公開
LUJUで仕上げた、ツヤのあるロングヘア
毛流れがそろうと、髪の表面で光がきれいに反射します

更年期のころに髪がパサつく、うねる、まとまらない。これは、年齢とともに生えてくる髪そのものが変わる時期と、更年期が重なっているためです。花王は、40歳ごろから髪質の変化を多くの人が感じ、うねった髪の割合が増え、まとまりにくくパサつきやすくなると報告しています。

お手入れが足りないせいではありません。この記事では、更年期がいつごろなのか、髪がどう変わるのか、家での乾かし方と染め方の見直し、医療機関に相談する目安を、花王と学会の資料をもとに整理しました。

この記事の要点

  1. 更年期は、閉経の前後5年ずつの約10年間。閉経の平均は50歳前後なので、45〜55歳ごろにあたる方が多い時期です(日本産科婦人科学会)
  2. 同じ時期に、うねった髪が増え、白髪で染める回数が増え、髪の内側の脂質が減っていきます。これが重なって、パサつきやまとまりにくさにつながります(花王)
  3. 家でできるのは、根元から乾かして毛流れをそろえることと、毎回全体を染めないこと。抜け毛が急に増えたときは皮膚科へ

01更年期はいつ?髪が変わる時期と重なっている

日本産科婦人科学会によると、閉経の前の5年間と、後の5年間をあわせた10年間を「更年期」といいます。日本人女性の閉経の平均は50歳前後。早い方で40代前半、遅い方で50代後半と、個人差の大きいものです。40歳を過ぎて月経の周期が不規則になり始めたら、更年期にさしかかっているのかもしれない、と同学会は説明しています。

一方、髪のほうにも年齢による変化があります。花王は、年代ごとの髪の悩みの移り変わりを次のようにまとめています。

年代髪の変化と悩み(花王の調べ)
30代前半まで「傷んでいる」「パサつく」「量が多い」「広がる」が上位
40歳ごろから髪質の変化を多くの人が感じる。白髪の悩みが1位に。うねった髪の割合が増え、染める回数も増え始める。まとまりにくく、パサつきやすく、ツヤが出にくいと感じやすい
50代半ばごろから髪の太さ、ハリ・コシ、本数が少しずつ減る。「ぺちゃんとなる」「分け目が目立つ」が上位に
花王 ヘアケアサイト「加齢にともなう髪の変化と悩み」をもとに作成。変化には個人差があります

表の「40歳ごろから」と「50代半ばごろから」のあいだに、ちょうど更年期が入ります。体の変化と髪の変化が同じ時期に来るので、「更年期に入ってから髪が変わった」と感じる方が多いのは自然なことです。

「パサつき」の悩みは、なくならずに続く

花王は、「傷み」や「パサつく」という悩みは年齢を重ねても消えるわけではなく、ほかに気になることが増えて順番が変わるだけ、としています。そのうえで、特別な方法を探すより、毎日のお手入れとスタイリングのやり方を見直すほうが対策になる、と説明しています。

02パサつき・うねりが出てくる3つの理由

この時期のパサつきやうねりには、資料で確かめられる理由が3つあります。どれかひとつではなく、重なって起きます。

1. うねった髪の割合が増える

花王は、年齢とともに、不規則に細かくうねった髪の割合が増えることを報告しています。うねった髪が混ざると、髪の向きがそろいにくくなります。向きがばらばらだと、表面で光がきれいに反射せず、手ざわりもデコボコして感じます。乾燥していなくても「パサついて見える」のは、このためです。なぜ年齢とともにうねりが増えるのかは、まだ解明されていません。

2. 白髪で、染める回数が増える

40歳ごろから白髪が気になり、染める回数が増えていきます。花王は、うねった髪はヘアカラーなどのダメージを受けるとうねりが強くなる、としています。もともと増えてくるうねりに、染める回数の影響が重なります。

3. 髪の内側の脂質が減る

花王によると、年齢とともに、生えてくる髪の内側(コルテックス)に含まれる脂質が減り、しなやかさが下がって、もろくなる傾向が強まります。若いころと同じ扱い方でも、負担を受けやすくなるということです。

シャンプー台で、中村一成がお客様の髪を洗っている様子
洗うときは、髪どうしをこすり合わせないように

女性ホルモンとの関係で、わかっていること

更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら減っていく時期です。では、髪のパサつきやうねりは女性ホルモンのせいなのでしょうか。

この記事で確かめた資料の中に、パサつきやうねりと女性ホルモンの関係をはっきり示したものはありませんでした。花王の研究も、年齢による変化として調べたものです。

髪の量については、資料があります。日本皮膚科学会のガイドラインは、頭頂部の広い範囲が薄くなる「女性型脱毛症」は更年期に多く見られるようになる、としています。同学会のQ&Aは、その理由について、男性ホルモンの影響ははっきりしておらず、女性ホルモンの状態などさまざまな理由で起きていることが多いと考えられている、と説明しています。

まとめると、髪の手ざわりの変化は「年齢による髪の変化」として考え、分け目や頭頂の量が気になるときは皮膚科で相談する、という分け方が実際的です。

03家でできるケア:乾かし方をいちばんに見直す

花王は、スタイリングがうまくいかない主な原因は乾かし方にあることが多い、としています。髪は、乾くときに形が決まります。うねった髪が増えてきた時期ほど、乾かし方で差が出ます。

  1. お風呂から出たら、早めに乾かし始める置いておくと、表面や毛先から先に乾いて、ばらばらの向きのまま形が決まります。
  2. 根元から乾かすドライヤーを持っていないほうの指先を頭皮に当てて小さく動かし、根元に風を入れます。
  3. 根元から毛先へ、風を送る風の向きを根元から毛先にそろえ、指でざっくり毛流れを整えます。毛先だけに風を当て続けません。
  4. 冷ましてから、動かす温まった髪は形が変わりやすい状態です。冷風を当てるなどして、冷めてから仕上げます。

洗うとき・とかすとき

  • 洗う前に、髪と地肌をお湯でしっかり濡らす。よく濡れているとシャンプーが泡立ち、髪どうしのこすれがやわらぎます
  • コンディショナーやトリートメントで、髪の表面をなめらかにしておく。毛流れがそろいやすくなります
  • タオルはこすらず、押さえて水気を取る
  • 濡れた髪を、目の細かいブラシで強くとかさない

シャンプーやトリートメントを替えるだけで、うねりそのものがなくなるわけではありません。表面をなめらかに保つ、という役割だと考えると、選びやすくなります。

04染め方の見直し:毎回、全体を染めない

白髪が増えると、根元が伸びるたびに全体を染めたくなります。ただ、毛先は何度も重ねて染めることになり、負担がたまります。花王は、うねった髪の対策として、毎回髪全体を染めるのではなく、部分染めやヘアマニキュアなどを併用して、傷みが進まないようにすることを挙げています。

見直したいこと

根元
伸びた根元だけを染める日をつくる
毛先
色が抜けて気になるときだけ、全体を染める
間隔
根元が気になる時期を目安に、決めておく

美容室で伝えること

時期
いつごろから気になり始めたか
場所
うねりやパサつきが出るのはどこか
履歴
家で染めているか、前回いつ染めたか
仕上がりを見ながら、中村一成がお客様と話している様子
いつごろから、どこが気になるか。分かる範囲で教えてください

LUJUのメインコースは、地肌につけずに塗る白髪染め(ゼロテク)と、骨格に合わせたカットを組み合わせています。染める前に、マイクロスコープで頭皮を拡大した写真をいっしょに見て、その日の地肌を確認します。お客様の来店の間隔は、平均で41日(約6週間)です。

窓ぎわの席で、中村一成がお客様に説明している様子はじめての方におすすめ

このページで紹介した白髪染め

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05医療機関に相談したほうがよいとき

パサつきやうねりは、年齢による髪の変化として付き合っていけるものです。けれど、次のようなときは、髪の扱い方より先に医療機関で相談してください。美容室では、診断や治療はできません。

こんなときは、先に医療機関へ

  • 抜け毛が急に増えた。分け目や頭頂の地肌が、前より目立つ(皮膚科へ)
  • 円形に抜けているところがある(皮膚科へ)
  • 頭皮に赤み・かゆみ・痛みがある(皮膚科へ)
  • ほてり・発汗・眠れない・気分の落ち込みなどがつらく、生活に支障がある(産婦人科へ)

日本産科婦人科学会は、更年期の症状で困ったときは、ひとりで悩まずに近くの産婦人科へ相談するよう呼びかけています。

日本皮膚科学会は、甲状腺の病気や、体に大きな負担がかかったあとなどにも抜け毛が増えることがある、としています。髪だけの問題と決めつけず、体調の変化もあわせて医師に伝えてください。

06よくある質問

更年期の髪のパサつきは、いつまで続きますか?

花王は、「パサつく」という悩みは年齢を重ねてもなくなるわけではなく、続くものだとしています。更年期が終われば元に戻る、とは言えません。乾かし方と染め方を見直して、扱いやすい状態を保つことが、毎日できる対策です。

更年期になると、髪質は変わりますか?

40歳ごろから、髪質の変化を多くの人が感じます。うねった髪の割合が増え、50代半ばごろからは太さやハリ・コシ、本数が少しずつ減っていきます(花王)。更年期はこの時期と重なります。変化の出方には個人差があります。

シャンプーを替えれば、パサつきやうねりは良くなりますか?

シャンプーだけで、うねりがなくなるとは言えません。コンディショナーやトリートメントで髪の表面をなめらかにしておくと、毛流れをそろえやすくなります。あわせて、根元からしっかり乾かしてください。

サプリメントは飲んだほうがいいですか?

この記事で確かめた資料には、パサつきやうねりに対するサプリメントの効果を示したものはありませんでした。日本皮膚科学会は、髪の新陳代謝には各種のビタミンやミネラルが関係しているので、バランスのとれた食生活を心がけるよう勧めています。

更年期の抜け毛は、何科に相談すればいいですか?

抜け毛や薄毛は、皮膚科で相談できます。ほてりや不眠など、更年期の症状もつらいときは、産婦人科でも相談してください。

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美容師 中村一成

この記事を書いた人

中村一成

銀座の美容室LUJU代表・美容師15年目

銀座の美容室LUJU(ルジュ)代表。美容師15年目で、これまで1万人以上の髪と顔に触れてきました。髪と肌を一緒に見る美容師として、地肌を守る白髪染めと、肌を育てるケアを続けています。Instagramのフォロワーは16.5万人。『美ST』2025年3月号に掲載。

Instagramを見る(@nakamura_luju_wellaging)

参考にした資料

  1. 日本産科婦人科学会「更年期障害」(2025年1月30日更新)
    https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
  2. 花王 ヘアケアサイト「加齢にともなう髪の変化と悩み」
    https://www.kao.com/jp/haircare/hair/4-1/
  3. 花王 ヘアケアサイト「うねり毛の増加と、ツヤ・まとまりにくさ」
    https://www.kao.com/jp/haircare/hair/4-3/
  4. 花王 ヘアケアサイト「内在脂質の減少」
    https://www.kao.com/jp/haircare/hair/4-5/
  5. 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」
    https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
  6. 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症 Q8・Q17・Q18」
    https://qa.dermatol.or.jp/qa11/q08.html