パッチテストで赤くなった・かゆいときは?陽性のサインと白髪のこれから

美容師 中村一成
銀座の美容室LUJU代表・美容師15年目
2026年10月22日 公開
シャンプー台で、中村一成がお客様の頭をケアしている様子
染める・染めないを決める前に、これまでの経過と、その日の地肌を確かめます

パッチテストで塗ったところが赤くなった、かゆくなったら、手でこすらずにすぐ洗い流し、その日は染めません。日本ヘアカラー工業会は、一度でも異常が出た方は、別の日でも、別のメーカーの製品でも、ヘアカラー(酸化染毛剤)を使わないよう呼びかけています。

「少し赤いだけ」「かゆいだけ」でも、自分で大丈夫と決めないことが大切です。この記事では、30分後と48時間後に見るサイン、やってはいけないこと、そして白髪をこれからどうするかを、工業会と消費者庁の資料をもとにまとめました。

この記事の要点

  1. 赤み・かゆみ・腫れ・ブツブツ・ヒリヒリは、どれも「異常」。こすらずに洗い流し、ヘアカラーはしません
  2. 日を改めてもう一度テストする、製品を変える、美容室用なら、はどれも避けます。工業会は、一度異常が出たら以後のパッチテストもしないよう求めています
  3. 症状が続く・広がるときは、使った製品を持って皮膚科へ。白髪は、ヘアマニキュアや一時染毛料などで付き合っていけます

01パッチテストで赤くなった・かゆいとき、まずすること

工業会の手順では、テスト中に塗ったところへ発疹・赤み・かゆみ・水ぶくれ・刺激などを感じたら、手などでこすらずに、すぐ洗い落とします。48時間たつ前でも同じです。そして、そのヘアカラーは使いません。

  1. こすらずに、洗い流す水かぬるま湯で、やさしく流します。かゆくても、かいたりこすったりしないでください。
  2. その日は染めない予定していた白髪染めは中止します。美容室の予約がある方は、お店に連絡して、テストで異常が出たことを伝えます。
  3. 写真とメモを残す赤みの広さ、かゆみの強さ、塗ってから何時間後に出たかを残しておきます。受診のときに役立ちます。
  4. 続く・広がるなら皮膚科へ工業会は、かぶれたときは自分の判断で手持ちの薬を使わず、すぐに医師の診察を受けるよう勧めています。使った製品は、できるだけ持っていきます。

すぐに医療機関へ

  • 息苦しさ、めまい、気分の悪さがある
  • 全身にじんましんが出た
  • テストした場所をこえて、赤みや腫れが広がっている

工業会は、ヘアカラーの最中から30分くらい後に、息苦しさなどの重い症状が突然起きることがある(即時型アレルギー)としています。この場合は、迷わず医療機関へ。

02「陽性」のサインは?30分後と48時間後に見るもの

パッチテストで2回見るのは、アレルギーの出方に2つの型があるからです。工業会は、塗ってから30分くらい後に出る反応(即時型)と、時間がたってから出る反応(遅延型)の両方を確かめるため、観察は30分後と48時間後の2回が必要だとしています。

いつ見る出やすい反応主な症状
塗って30分くらい後即時型アレルギー強いかゆみ・赤み・じんましん。息苦しさ、めまいなど体の症状が出ることも
塗って48時間後遅延型アレルギーかゆみ・赤み・腫れ・ブツブツ(小さな盛り上がりや水ぶくれ)。半日ほどしてかゆみが出始め、48時間後にかけて強くなりやすい
日本ヘアカラー工業会「ヘアカラーによるアレルギー反応とは」「Q&A(ご自宅で染められる方)」をもとに作成

工業会のQ&Aでは、テストで起こる「皮膚の異常」を、かゆみや刺激感、赤み・腫れ・ブツブツとしています。ひどくなると、塗った場所のまわりにも広がることがあります。30分後に何もなくても、48時間後に赤くなることはあるので、2回目まで見てください。

「少し赤いだけ」「かゆいだけ」は、どう考える?

検索では「パッチテスト かゆいだけ」「少し赤い」と調べる方も多くいます。工業会の示す異常には、かゆみだけの場合も含まれます。判断に迷う程度でも、その日は染めず、皮膚科で相談するのが確かです。

アレルギー性のかぶれ

しくみ
体を守る仕組み(免疫)が、成分に反応しすぎる
出方
かゆみのあとに、赤み・腫れ・ブツブツ
その後
一度なると、ふれるたびに症状が出る

刺激性のかぶれ

しくみ
肌が敏感なときや傷があるときに、成分が刺激になる
出方
赤み・痛みなど
その後
肌の状態によって、出たり出なかったりする

工業会は、かぶれがアレルギー性か刺激性かの判断は、皮膚科医に相談するよう書いています。見た目だけでは、自分でも美容師でも見分けられません。

03別の日・別の製品なら大丈夫?やってはいけない3つのこと

テストで赤くなったあと、多くの方が考えるのが「日を改めればいいのでは」「ほかの製品なら」ということです。工業会のQ&Aは、どれにもはっきり答えています。

テストで異常が出たあとに、避けること

  • 日を改めて、もう一度パッチテストをする:一度でも異常が出たら、別の日のテストで何もなくても、ヘアカラーはしないでください、とされています。テストそのものも行いません
  • 色番号やメーカーを変える:アレルギーの原因のほとんどは、ヘアカラーに共通して入っている酸化染料です。製品を変えても同じです
  • 美容室用の薬剤なら、と考える:工業会は、ヘアサロン用の製品であっても、いずれのヘアカラーも使えないとしています

理由は、このアレルギーが一生続くとも言われているからです。症状が軽いからと使い続けると、だんだん重くなり、まれに全身のじんましんや息苦しさなどの重い反応(アナフィラキシー)が起きることがあります。

テストで赤くなったのは、残念な結果に見えるかもしれません。でも、頭皮や顔に症状が出る前に気づけた、ということでもあります。パッチテストが役目を果たした、と受け止めてください。

04皮膚科で伝えること

消費者庁の消費者安全調査委員会の報告書は、毛染めで皮膚に異常が出た方が、それでも染めたい場合は、医療機関で、使えるヘアカラーリング剤について医師に相談するのがよい、としています。受診するときは、次のことを伝えると話が早く進みます。

  • パッチテストをした日時と、使った製品の名前(できれば製品そのものを持っていく)
  • 塗ってから何分後・何時間後に、どんな症状が出たか(写真があれば見せる)
  • これまでに白髪染めやおしゃれ染めで、かゆみ・赤み・腫れが出たことがあるか
  • これからも白髪をどうにかしたい、という希望

工業会によると、ヘアカラーの酸化染料にアレルギーのある方は、形の似た別の成分(局所麻酔に使われる成分の一部、美白に使われるハイドロキノン、衣類や革の染料など)にも反応することがあります(交差反応)。歯科や病院で麻酔を受けるときにも、ヘアカラーで反応が出たことを伝えてください。

05白髪はこれからどうする?ヘアカラーを使わない選び方

ヘアカラー(酸化染毛剤)が使えなくなっても、白髪とのつき合い方はあります。工業会は、かぶれたことのある方に、ヘアマニキュアなどの染毛料(化粧品)や、非酸化染毛剤をすすめています。

選び方持ちの目安気をつけたいこと
ヘアマスカラなどの一時染毛料1回のシャンプーで落ちる雨や汗で落ち、衣服につくことがある
ヘアマニキュア約2〜4週間頭皮や肌につくと落ちにくい
カラートリートメント少しずつ落ちる続けて使うことが前提
非酸化染毛剤約1か月色は黒〜黒褐色。まれにかぶれることがあり、毎回のパッチテストが必要
染めずに整える—分け目・カット・スタイリングで見え方を変える
日本ヘアカラー工業会「ヘアカラーリング製品の分類(詳細)」をもとに作成

どれを使うかは、自分で決める前に皮膚科で相談してください。ヘナを配合した製品など、ヘアカラー以外でも毎回パッチテストが必要なものがあります。製品の説明書もよく読んでください。それぞれの違いは、ジアミンアレルギーの白髪染めの記事でくわしく比べています。

06美容室に伝えてほしいことと、LUJUの考え方

美容室の予約のときには、パッチテストで異常が出たことを、色の希望より先に伝えてください。いつ、どの製品で、どんな症状が出たか。皮膚科で何と言われたか。それがわかると、美容師は使う薬剤を選べますし、染めないという判断もできます。

マイクロスコープで拡大した地肌と毛穴
マイクロスコープで拡大した地肌。赤みや傷がないかを、いっしょに見ます

LUJUのメインコースの白髪染めは、酸化染毛剤を使います。薬剤を地肌から約0.1mm浮かせて塗る「ゼロテク」は、地肌に薬剤がつきにくい塗り方ですが、アレルギーを防ぐ方法ではありません。染めたあとにかゆみ・赤み・腫れが出たことがある方は、ゼロテクでも染めません。まず皮膚科で相談していただくようお伝えしています。

カウンセリングでは、マイクロスコープで頭皮を拡大した写真をいっしょに見て、その日の地肌を確認します。赤みや傷がある日は、無理に染めない提案もします。LUJUのメニューは、メニュー一覧にまとめています。

07よくある質問

30分後は何ともなかったのに、次の日に赤くなりました。

時間がたってから出る反応(遅延型アレルギー)は、半日ほどしてかゆみが出始め、48時間後にかけて強くなりやすいとされています。30分後に何もなくても、異常が出た時点でそのヘアカラーは使いません。こすらずに洗い流し、症状が続くときは皮膚科へ。

ほんの少し赤いだけです。染めてもいいですか?

工業会は、テストで皮膚に異常を感じた方はヘアカラーを使えないとしています。少しの赤みでも、その日は染めないでください。アレルギー性か刺激性かは見た目だけでは分からないので、皮膚科で相談してください。

何年かたてば、また白髪染めができるようになりますか?

工業会は、ヘアカラーのアレルギーは一度なると一生続くとも言われている、と説明しています。時間がたっても自分で試すことはせず、今後の染め方は皮膚科で相談して決めてください。

ヘアマニキュアなら、パッチテストはいりませんか?

製品によります。ヘナを配合した製品などは、ヘアカラーと同じように毎回パッチテストが必要とされています。製品の説明書を読み、迷ったら皮膚科で相談してください。

美容院で染める場合も、自分でパッチテストをするのですか?

工業会は、美容室で染めるときも、美容師から「ヘアカラーのリスク」や「パッチテスト」の説明を受けるよう呼びかけています。テストのやり方は、予約のときにお店と相談してください。一度でも異常が出た方は、テストもせず、そのことを伝えてください。

シャンプー台で髪を洗っている様子

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美容師 中村一成

この記事を書いた人

中村一成

銀座の美容室LUJU代表・美容師15年目

銀座の美容室LUJU(ルジュ)代表。美容師15年目で、これまで1万人以上の髪と顔に触れてきました。髪と肌を一緒に見る美容師として、地肌を守る白髪染めと、肌を育てるケアを続けています。Instagramのフォロワーは16.5万人。『美ST』2025年3月号に掲載。

Instagramを見る(@nakamura_luju_wellaging)

参考にした資料

  1. 日本ヘアカラー工業会「皮膚アレルギー試験(パッチテスト)について」
    https://www.jhcia.org/information/4_patchtest.html
  2. 日本ヘアカラー工業会「Q&A(ご自宅で染められる方)」
    https://www.jhcia.org/general_faq.html
  3. 日本ヘアカラー工業会「ヘアカラーによるアレルギー反応とは」
    https://www.jhcia.org/rash/3_what_is_allergies.html
  4. 日本ヘアカラー工業会「「アレルギー性のかぶれ」と「刺激性のかぶれ」の違い」
    https://www.jhcia.org/rash/2_different.html
  5. 日本ヘアカラー工業会「ヘアカラーによるアレルギー反応(かぶれ)を経験された方へ」
    https://www.jhcia.org/rash/5_experienced.html
  6. 消費者庁 消費者安全調査委員会「毛染めによる皮膚障害」報告書 概要(2015年10月23日)
    https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_008/pdf/8_houkoku_gaiyou.pdf