白髪染めのリタッチとは?頻度の目安と全体染めとの使い分け

美容師 中村一成
銀座の美容室LUJU代表・美容師15年目
2026年10月16日 公開
マイクロスコープで拡大した、地肌と髪の根元
マイクロスコープで拡大した根元。リタッチで染めるのは、新しく伸びたこの部分です

白髪染めのリタッチは、新しく伸びた根元だけを染める「部分染め」のことです。頻度の目安は月に1回前後。毛先まで染める全体染めは、2〜3か月おきが目安とされています。

「リタッチばかりで大丈夫?」「2週間で染めるのは早すぎる?」と迷う方も多いところです。この記事では、リタッチと全体染めの違い、それぞれの頻度、家で染めるときの注意を、メーカーと日本ヘアカラー工業会の資料をもとに整理しました。

この記事の要点

  1. リタッチは、伸びた根元だけを染める部分染め。髪は1か月に約1〜1.5cm伸びるので、月に1回前後が目安です
  2. 染め直していない毛先は2〜3か月で色が抜けてくるため、全体染めは2〜3か月おきが目安です
  3. 毎回全体を染めると、毛先に薬が重なって傷みが進みます。ふだんは根元、ときどき全体、が基本の考え方です

01白髪染めのリタッチとは?全体染めとの違い

リタッチ(retouch)は、前に染めたところはそのままにして、新しく伸びた根元だけを染める方法です。白髪染めのメーカーであるホーユーは、リタッチを「部分染め」と説明し、伸びて白髪が目立つ根元と、すでに染めた部分との色の差を整えるもの、としています。

これに対して全体染め(フルカラー)は、根元から毛先まで、髪全体に薬を塗ります。

リタッチ全体染め
染める場所新しく伸びた根元だけ根元から毛先まで全部
向いているとき分け目や生え際の白髪が気になる毛先の色が抜けた・色を変えたい
頻度の目安月に1回前後2〜3か月おき
毛先への負担薬を重ねないので、かかりにくい染めるたびに重なっていく
ホーユー「根元のリタッチの頻度はどのくらい?」「髪を染める頻度はどれくらい?」をもとに作成

どちらが良い・悪いではなく、役目が違います。根元の白髪を隠すのがリタッチ、髪全体の色をそろえるのが全体染めです。

02リタッチの頻度は、月に1回前後が目安

ホーユーによると、髪は1か月に約1〜1.5cm伸びます。白髪は根元から伸びてくるので、染めて1か月ほどたつと、分け目や生え際に白い線が見え始めます。リタッチの頻度が「月に1回」とされるのは、このためです。同社の別の資料では、根元染めの目安を4〜8週間としています。

2週間でリタッチするのは、早すぎる?

白髪の量が多い方や、分け目がはっきりしている方は、2週間ほどで気になり始めることがあります。花王は、ヘアカラー(酸化染毛剤)は髪が傷むため、染める間隔を最低でも1週間以上あけるよう案内しています。ホーユーは、染め直しの間隔は3〜4週間あけるのが基本、としています。

2週間おきに染め続けるより、次の予約までを別の方法でつなぐほうが、地肌にも髪にも負担が重なりません。分け目を変える、根元用の一時的な白髪かくし(洗えば落ちるタイプ)を使う、といった工夫です。くわしくは白髪染めの頻度の記事にまとめています。

3か月あいても、リタッチでいい?

3か月あくと、根元は3〜4.5cm伸びています。伸びた部分だけを染める、という意味ではリタッチですが、そのころには毛先の色も抜けてきています。根元と毛先で色の差がはっきりしているなら、全体の色を整える回にするのがおすすめです。

03全体染めはいつ?「リタッチばかり」でもいい?

ホーユーは、リタッチを続けていても、染め直していない部分は約2〜3か月で色が抜けてくるため、2〜3か月おきの全体染めが必要、としています。花王も、1か月以内に染めるときは新しく生えた部分や気になる部分だけにして、ときどき全体を染めて色みを整える、という考え方を示しています。

リタッチだけでよいとき

気になる所
分け目・生え際の伸びた白髪
毛先の色
根元と並べても、差が気にならない
前回の全体染め
2か月以内

全体を整えたいとき

気になる所
毛先の黄み・明るさ、根元との色の差
毛先の色
根元と並ぶと、はっきり明るい
前回の全体染め
2〜3か月以上前

「リタッチばかり」で困るのは、毛先の色です。毛先が明るく抜けたままだと、根元だけが濃く見えて、色の段ができます。逆に、色の差が気にならないうちは、リタッチを続けてかまいません。回数で決めるのではなく、毛先の色を見て決めてください。色が抜ける理由は白髪染めの色落ちの記事で説明しています。

04毎回、全体を染めないほうがいい理由

根元が伸びるたびに全体を染めると、毛先は何度も薬を重ねることになります。花王の資料によると、ヘアカラーやパーマをくり返すと、髪の内側の結びつきが切れて、たんぱく質や脂質が洗髪のときに流れ出やすくなります。内側に空洞が増え、コシやしなやかさ、ツヤが落ちていきます。

表面を守るキューティクルも、染めたあとは層どうしの結びつきが弱まり、日々のお手入れの小さな摩擦でも、削れたりはがれたりしやすくなります。毛先は、根元よりも長い年月、洗う・乾かす・とかすをくり返してきた部分です。そこに薬まで重ねると、傷みが進みやすくなります。

ホーユーも、すでに染めた部分への重ね塗りは避け、色あせが気になるときは色みの補正などでつなぐよう勧めています。ふだんは根元だけ、毛先はときどき、という分け方は、色のためだけでなく、髪の手ざわりを保つための考え方でもあります。

05市販の白髪染めで、家でリタッチするときの注意

家で染める方にとっても、リタッチは使いやすい方法です。ホーユーは、続けるときの注意として次の3つを挙げています。

  1. 前に染めた色と、同じ色を選ぶ違う色を選ぶと、新しく染めた根元だけ色が変わって見えます。
  2. 部屋の温度は20〜30℃に寒い部屋では染まりにくくなります。冷えた場所に置いていた薬は、しばらく室温になじませてから使います。
  3. 塗る時間と、置く時間を分けて考える説明書にある時間を守ります。早く塗り終えたら、そのぶん置く時間を長めにとります。

もうひとつ大事なのが、パッチテストです。日本ヘアカラー工業会は、これまでかぶれたことがなくても、毎回、染める48時間前にパッチテストをするよう求めています。リタッチで使う薬の量が少なくても、同じです。やり方はパッチテストの記事にまとめました。

こんなときは、染めずに皮膚科へ

  • 染めたあとに、かゆみ・赤み・腫れが出たことがある
  • 頭や顔、首すじに、傷やはれもの、皮膚の病気がある
  • パッチテストで、赤み・かゆみ・水ぶくれなどが出た

アレルギーの可能性があるときは、根元だけでも染めないでください。まず皮膚科で相談を。

06美容院でリタッチを頼むときに、伝えたいこと

美容院では、根元と毛先で薬を分けることができます。根元は白髪をしっかり染める薬で、毛先は色みだけを足す負担の少ない方法で、というように。そのために、次の3つを伝えてもらえると助かります。

  • 前回、いつ・どこで染めたか(美容院か、家か)
  • いま気になるのは、根元の白髪か、毛先の色か
  • 次に染めるのは、いつごろになりそうか
仕上がりを見ながら、中村一成がお客様と話している様子
今回は根元だけにするか、毛先まで整えるか。鏡の前でいっしょに決めます

LUJUのお客様の来店の間隔は、平均41日(約6週間・2026年7月時点)です。カウンセリングでは、マイクロスコープで頭皮を拡大した写真を見ながら、その日の地肌をいっしょに確認します。そのうえで、今回は根元だけにするか、毛先まで色を整えるかを、髪の状態を見て決めています。

根元は「ゼロテク」という塗り方です。地肌から約0.1mm浮かせて、ハケを地肌に当てずに塗ります。地肌に薬剤がつきにくく、根元のぎりぎりまで塗るので、根元から染まります。

ふつうの塗り方は地肌に薬剤がつき、ゼロテクは地肌から約0.1mm浮かせて根元ぎりぎりに塗る図
根元を、地肌から約0.1mm浮かせて塗ります
窓ぎわの席で、中村一成がお客様に説明している様子はじめての方におすすめ

このページで紹介した白髪染め

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07よくある質問

リタッチと全体染め、どっちが髪にやさしいですか?

毛先に薬を重ねないぶん、リタッチのほうが毛先への負担はかかりにくくなります。ただし、根元の地肌に近いところに薬を使うのはどちらも同じです。地肌がしみやすい方は、塗り方も合わせて相談してください。

リタッチの頻度は、白髪が多いと短くなりますか?

白髪の量が多い方、分け目がはっきりしている方、髪色を暗めにしている方は、伸びた根元との差が目立ちやすく、早めに気になりやすくなります。目安は月に1回前後ですが、ホーユーは染め直しの間隔を3〜4週間あけるのが基本としています。

リタッチだけを続けると、色が合わなくなりませんか?

毛先の色が抜けてくると、根元との差が出てきます。差が気になり始めたら、全体の色を整える回にします。目安は2〜3か月おきです。家で染める方は、前回と同じ色を選ぶと差が出にくくなります。

リタッチなら、パッチテストはしなくていいですか?

必要です。日本ヘアカラー工業会は、毎回、染める48時間前のパッチテストを求めています。アレルギーは、これまで問題がなかった方にも、ある日突然起こることがあるためです。

根元を明るめに染めて、白髪を目立ちにくくできますか?

できます。明るめの色は、伸びてきた白髪との差が小さくなるので、次に染めるまでの間が気になりにくくなります。くわしくは明るい白髪染めの記事をご覧ください。

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美容師 中村一成

この記事を書いた人

中村一成

銀座の美容室LUJU代表・美容師15年目

銀座の美容室LUJU(ルジュ)代表。美容師15年目で、これまで1万人以上の髪と顔に触れてきました。髪と肌を一緒に見る美容師として、地肌を守る白髪染めと、肌を育てるケアを続けています。Instagramのフォロワーは16.5万人。『美ST』2025年3月号に掲載。

Instagramを見る(@nakamura_luju_wellaging)

参考にした資料

  1. ホーユー「根元のリタッチの頻度はどのくらい?」(ビゲン 白髪染めラボ)
    https://www.bigen.jp/shiragazome-labo/shiragazome-retouch/
  2. ホーユー「髪を染める頻度はどれくらい?ヘアカラーのベストな間隔を解説」
    https://www.hoyu.co.jp/licolo/category/hair-care/2130.html
  3. 花王 ヘアケアサイト「カラーリングのQ&A」
    https://www.kao.com/jp/haircare/scalp-care/11-6/
  4. 花王 ヘアケアサイト「髪の内部の傷み」「パーマ・ヘアカラーなどの化学処理の影響」
    https://www.kao.com/jp/haircare/hair/3-3/
  5. 日本ヘアカラー工業会「酸化染毛剤の使用上の注意事項」「Q&A ご自宅で染められる方」
    https://www.jhcia.org/haircolor-abc/caution.html