ヘッドスパは白髪に効果がある?期待できること・できないこと
2026年10月20日 公開

ヘッドスパで白髪が減る、黒く戻る、白髪を予防できる、と確かめた研究は、私たちの知るかぎり見当たりません。白髪は、髪に色をつける色素細胞が作られなくなることで起こります。東京大学医科学研究所の西村栄美教授は、毛包の中ほどにある色素幹細胞が色素細胞を生み出していて、加齢などで色素細胞が作られなくなるとメラニンが供給できず、髪が白くなると説明しています。頭皮をほぐして血流を促すことと、この仕組みは別のものです。
それでも「ヘッドスパ 白髪」と検索する方が多いのは、「頭皮の血流がよくなれば白髪にもいいのでは」という期待と、「ヘッドスパを続けたら白髪が減った」という話を見かけるからだと思います。この記事では、ヘッドスパに期待できること(研究で分かっていること)と、言えないことを分け、ストレスと白髪の研究がどこまで分かっているか、白髪のために本当にできることは何かを、頭皮と顔を一緒に見ている銀座の美容師の立場でまとめました。
この記事の要点
- ヘッドスパ(頭皮マッサージ)で分かっているのは、頭皮が柔らかくなる、続けると頭皮の血流量が上がる、ストレスに関わる数値に変化が見られた、まで。白髪が減る・戻る・予防できる、は確かめられていない
- ストレスで白髪が増える仕組みはマウスで示され、人でも強いストレスの時期に白くなり、去った時期に色が戻った毛が報告されている。ただし「ヘッドスパでストレスが減れば白髪が戻る」とまでは言えない
- 白髪のためにできるのは、染め方と色の選び方、地肌を守ること、生活を整えること。ヘッドスパは「白髪のため」ではなく、頭皮をほぐし、ほっとする時間として受けるのが合っている
01結論から。ヘッドスパは白髪に効かない。なぜそう言えるか
白髪が起こる場所は、毛包(毛を作る袋)の中です。西村教授の説明によると、毛包の中ほどに「色素幹細胞」があり、ここから生まれた色素細胞が、髪が作られるときにメラニン(色のもと)を渡します。加齢などで、幹細胞のDNAが傷つくストレスに細胞が反応し、色素細胞が作られなくなると、髪は色をもらえないまま伸びて白くなります。一度、色素幹細胞が失われた毛包から生える髪は、白いままです。
ヘッドスパがしているのは、頭皮の表面をほぐし、温め、血流を促すことです。花王のヘアケアの資料は、頭皮マッサージを1〜3分、毎日3回、6か月続けた9人の平均で、ふだんの頭皮の血流量が増えたと報告しています。頭皮の血流が多い状態は、髪の健やかな成長を助ける可能性がある、とも書かれています。ただ、ここで言う「成長」は、髪の伸びや太さの話であって、色の話ではありません。血流が増えたら色素幹細胞が戻る、という道筋は示されていません。
「ヘッドスパを続けたら白髪が減った」という話について。染めていない白髪の本数を、自分で正確に数えることはできません。分け目を変えた、明るく染めた、ツヤが出て白髪との差が目立たなくなった、という見え方の変化を「減った」と感じることはよくあります。感じ方を否定はしませんが、根拠として扱うことはできません。
ヘッドスパで分かっていること
- 頭皮
- 1回で動きやすくなり、1週間続けると柔らかくなった(花王)
- 血流
- 毎日続けて6か月で、ふだんの頭皮の血流量が上がった(花王・9人)
- ストレス
- 週2回・10週間で、ストレスに関わるホルモンと血圧に変化(Kimら 2016・女性34人)
言えないこと
- 白髪
- 白髪が減る・黒く戻る・予防できる
- 髪
- 髪が生える・抜け毛が止まる
- 仕組み
- 血流が増えると色素細胞が戻る
ヘッドスパの効果の全体像と、効果がいつまで続くかは、ヘッドスパの効果の記事にまとめています。
02「ストレスで白髪」は本当?研究で分かっていることと、ヘッドスパとの距離
ヘッドスパと白髪を結びつける説明で、いちばんもっともらしいのが「ヘッドスパでストレスが減れば、ストレスによる白髪も減る」というものです。ストレスと白髪の研究は、実際にあります。どこまで分かっていて、どこからが飛躍なのかを分けます。
マウスでは、ストレスで色素幹細胞が失われる
2020年に科学誌Natureに載ったハーバード大学の研究(Ya-Chieh Hsu氏ら)は、マウスで、強いストレスが交感神経を働かせ、放出されたノルアドレナリンが毛包の色素幹細胞を過剰に働かせて使い切らせ、白髪になることを示しました。副腎のホルモン(コルチゾール)や免疫の攻撃は主な原因ではなかった、とも報告しています。研究チームは、失われた色素幹細胞は戻らず、この変化は永続的だとしています。
人では、色が戻った毛の例がある
2021年に科学誌eLifeに載ったコロンビア大学などの研究は、人の髪を1本ずつ細かく調べ、白くなりかけた毛に、自然に色が戻っている例があることを示しました。心理的なストレスがかかった時期と髪の色の変化が重なり、ストレスが去った時期に色が戻っていた例も報告されています。ただしこれは、白くなり始めて間もない毛に見られたもので、年齢を重ねて長く白かった毛が戻る話ではありません。
ここからが飛躍:ヘッドスパでストレスが減れば白髪が戻る?
韓国で、会社勤めの女性34人を、15分の頭皮マッサージ、25分の頭皮マッサージ、マッサージなしの3つに分け、週2回・10週間続けた研究(Kimら、2016年)では、マッサージを受けた人たちでストレスに関わるホルモンと血圧に変化が見られました。ヘッドスパがほっとする時間であることは、研究でも支えられています。
けれど、「ストレスに関わる数値が変わる」と「白髪が戻る」のあいだには、何段階もの飛躍があります。白髪に関わるのは強い急性のストレスで、毛包の中の色素幹細胞の話です。頭皮をほぐしてその日ほっとすることが、色素幹細胞を守るかどうかは、誰も確かめていません。ヘッドスパを「白髪のため」に受けると、変化を感じられずにがっかりします。受けるなら、頭皮をほぐし、1〜2時間ほっとする時間として。その効果なら、研究でも支えられています。

03白髪のために、本当にできること
白髪を減らす、黒く戻す、と確かめられた方法は、今のところありません。それでも、白髪とのつき合い方で、見え方と暮らしやすさは大きく変わります。できることを順番に。
- 染め方と色を、白髪が目立ちにくいものにする黒に近い色ほど、伸びてきた白髪との境目がはっきり出ます。少し明るめの色、ブリーチをしない白髪ぼかしなら、根元が伸びても線になりにくい。色の選び方は白髪が目立たないカラーの記事へ。
- 地肌を守る分け目やつむじの地肌は、紫外線を直接受けます。環境省の紫外線環境保健マニュアルは、薄い雲でも紫外線の80%以上が通り抜けるとしています。紫外線で白髪が増えると人で確かめた研究はありませんが、地肌の日焼けを防ぐために、帽子や日傘を。
- 喫煙をやめる1996年にBMJに載った研究は、喫煙者で早い白髪が多かったと報告しています。白髪のためだけではありませんが、分かっている数少ない関係のひとつです。
- 強いストレスの時期を、長引かせないマウスと人の研究が示しているのは、強いストレスの時期と白髪の関係です。睡眠を削らない、相談できる人を持つ、休む日を決める。ヘッドスパも、その「休む日」のひとつとしてなら、意味があります。
- 抜かない抜いても、同じ毛包から生える髪は白いままです。繰り返し抜くと、毛根に負担がかかります。気になる1本は、根元から短く切ります。白髪を抜くとどうなる?の記事へ。
白髪が増える仕組みのくわしい話は白髪が増えるのはなぜ?の記事に、予防について分かっていることは白髪の予防はできる?の記事にまとめています。
04家で続ける、1日1分の頭皮ケア。白髪のためではなく、頭皮と顔のために
ヘッドスパを月に1回受けるより、家で毎日1分、頭皮を動かすほうが、頭皮の柔らかさには効きます。花王の資料でも、血流量が上がったのは「毎日続けた」場合で、1回のマッサージでは時間がたつと血流量は下がる、とされています。乾いた髪で、指の腹を頭皮に当て、こすらず、骨から頭皮を動かす。耳の上から頭頂部へ、生え際から頭頂部へ。白髪のためではなく、頭皮の硬さと、頭皮とつながっている顔のために。
くわしい手順は頭皮マッサージのやり方の記事に、頭皮が硬いかどうかのセルフチェックは頭皮が硬い原因の記事に書いています。
05白髪染めとヘッドスパを同じ日に受けるなら
「ヘッドスパ 白髪染め 同時」と探している方へ。白髪染めとヘッドスパは、同じ日に受けられます。順番と、地肌への考え方は白髪染めとヘッドスパは同じ日にできる?の記事にまとめています。白髪染めのあとの頭皮は、薬剤に触れた直後なので、LUJUではカウンセリングでマイクロスコープで地肌を拡大して見てから、その日の頭皮に合わせて進めます。
LUJUのリラックスケアコースは、若返りヘッドスパと、顔のケア(ララピール)を合わせた約2時間のコースです。白髪染め・カットまで含めて受けたい方は、プレミアムコース(ゼロテクカラー+カット+ララピール+髪質改善トリートメント+若返りヘッドスパ・約3時間)があります。ヘッドスパだけの単品メニューはありません。ララピールは、韓国H2MEDI社の公式認定を受けた、“剥く”のではなく“満たす”ピーリングです。頭皮と顔の皮膚はつながっているので、頭皮をほぐしたあとに顔のケアをする、という流れです。

06よくある質問
ヘッドスパを続ければ、白髪は予防できますか?
予防できると確かめた研究は見当たりません。白髪は毛包の中の色素幹細胞が失われることで起こり、頭皮の表面をほぐすこととは別の仕組みです。ヘッドスパで分かっているのは、頭皮が柔らかくなる、続けると血流量が上がる、ストレスに関わる数値に変化が見られた、までです。
「ヘッドスパで白髪が減った」という人がいますが?
染めていない白髪の本数を、自分で正確に数えることはできません。分け目を変えた、明るく染めた、ツヤが出て差が目立たなくなった、という見え方の変化を「減った」と感じることはよくあります。ヘッドスパと白髪の関係を調べた研究はありません。
頭皮の血行がよくなれば、白髪にもいいのでは?
頭皮の血流が多い状態は、髪の健やかな成長を助ける可能性がある、と花王の資料にあります。ただ、これは髪の伸びや太さの話で、色の話ではありません。血流が増えると色素幹細胞が戻る、という道筋は示されていません。
白髪染めの日に、ヘッドスパも受けていいですか?
受けられます。順番と地肌への考え方は、白髪染めとヘッドスパの記事にまとめています。LUJUでは、その日の地肌をマイクロスコープで拡大して確かめてから進めます。赤み・傷・しみやすさがある日は、無理をしない提案もします。
では、ヘッドスパは何のために受けるのですか?
頭皮をほぐして柔らかくすること、ふだん自分では動かさない頭皮と首まわりの緊張をゆるめること、そして1〜2時間、目を閉じてほっとすることです。研究で支えられているのはここまでで、それで十分に意味があると考えています。白髪は、染め方と色の選び方で向き合うほうが確実です。

参考にした資料
- 東京大学「歳を取るとどうして白髪や薄毛になるの?」西村栄美(医科学研究所 教授)2022年11月22日
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z1304_00209.html - 花王 ヘアケアサイト「頭皮マッサージ/効果と方法《頭皮ケアから始まる美容》」
https://www.kao.com/jp/haircare/health-of-scalp/20-10/ - Kim IH, Kim TY, Ko YW. The effect of a scalp massage on stress hormone, blood pressure, and heart rate of healthy female. J Phys Ther Sci. 2016
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27821918/ - The Harvard Gazette「New findings suggest how stress may trigger gray hair」2020年1月22日(Nature掲載の研究の紹介)
https://news.harvard.edu/gazette/story/2020/01/new-findings-suggest-how-stress-may-trigger-gray-hair/ - Rosenberg AM ほか「Quantitative mapping of human hair greying and reversal in relation to life stress」eLife 2021
https://elifesciences.org/articles/67437 - Mosley JG, Gibbs AC「Premature grey hair and hair loss among smokers」BMJ 1996
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8991008/ - 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf - LUJU リラックスケアコース(ヘッドスパ)のページ
https://luju-salon.com/headspa/



