スカルプケアとは?意味と、頭皮の洗い方・すすぎ方の基本

美容師 中村一成
銀座の美容室LUJU代表・美容師15年目
2026年10月29日 公開
シャンプー台で、中村一成がお客様の頭皮をケアしている様子
スカルプケアの主役は、髪ではなく、その下の地肌です

スカルプケアとは、頭皮(英語でスカルプ)をすこやかに保つためのお手入れのことです。特別な道具や高いシャンプーの話ではなく、中心にあるのは、皮脂や汗を頭皮に長く残さない「洗い方」と「すすぎ方」です。

頭皮は、体の中でも皮脂がとくに多く、しかも髪におおわれていて自分では見えません。だから、毎日洗っていても洗い残しが起こりやすい場所です。この記事では、花王の研究資料をもとに、スカルプケアの意味と、家で今日から変えられる手順をまとめました。

この記事の要点

  1. スカルプケアは、頭皮の皮脂や汗をためない「洗う・すすぐ」と、頭皮を動かして血流のよい状態を保つ「ほぐす」の2つが基本です
  2. 頭皮の皮脂腺は全身でいちばん多く、顔のTゾーンの2倍以上。お湯だけでは落としきれないので、シャンプーの泡を地肌まで届けます
  3. 洗い残しやすいのは、こめかみの奥・耳の上・後頭部。すすぎ残しやすいのは、耳のうしろ・えり足・頭頂です

01スカルプケアとは:意味と、目指すこと

「スカルプ(scalp)」は英語で頭皮のこと。スカルプケアは、そのまま訳せば「頭皮のお手入れ」です。シャンプーや美容液の名前にもよく使われますが、商品の種類を指す言葉ではありません。

花王は、頭皮のトラブルへの対策を2つにまとめています。ひとつは、かゆみやにおいのもとになる皮脂や汗を、頭皮に長い時間残さないこと(頭皮のクレンジング)。もうひとつは、頭皮マッサージなどで血流のよい状態を保つことです。スカルプケアも、この2本の柱で考えると分かりやすくなります。

すること目指す状態
洗う・すすぐシャンプーの泡を地肌まで届け、ぬるつきがなくなるまで流す皮脂や汗が、頭皮にたまっていない
ほぐす手のひらや指で、頭皮を押しながら動かす頭皮が動きやすく、血流のよい状態
見る赤み・かゆみ・フケの変化に気づくいつもと違うときに、早めに休める・相談できる
花王 ヘアケアサイト「頭皮のキホンと年齢変化、効果的な洗浄のコツ」をもとに作成

スカルプケアは、薄毛や抜け毛を治すための治療ではありません。急に抜け毛が増えた、頭皮に湿疹や強いかゆみがある、というときは、お手入れを工夫する前に皮膚科で相談してください。

02頭皮に、髪とは別のケアがいる理由

皮脂と汗が、とても多い場所

花王によると、頭皮の皮脂腺は全身でいちばん多く、顔のTゾーンの2倍以上あります。汗腺も、手のひら・足の裏に次いで多い場所です。頭皮そのものは乾きやすい性質ですが、皮脂と髪に守られているので、うるおいは保たれやすい環境です。

皮脂は、時間がたつと刺激やにおいのもとに変わる

出たばかりの皮脂や汗には、気になるにおいはほとんどありません。ところが頭皮の上に長く残ると、皮膚にいる菌や酸化によって分解され、脂肪酸などに変わります。その中には、赤みやかゆみを起こすもの、においのもとになるものがあります。洗髪のいちばんの目的は、この皮脂と、変わったあとの成分を、頭皮に長く残さないことです。

髪におおわれて、見えない・洗いにくい

頭皮は髪の下にあるので、変化に気づきにくく、指で触れたり目で見たりしながら洗うこともできません。花王は、毎日洗っていても洗い残しが起こり、それが頭皮のトラブルがなくならない理由のひとつだとしています。

洗髪からの時間頭皮で起きていること
洗った直後皮脂が落ちて、頭皮の上は少ない状態
およそ1日新しい皮脂が、頭皮全体に広がる
そのあと皮脂が髪に移り、根元がべたついてくる
長く残ると皮脂が脂肪酸などに変わり、かゆみやにおいにつながりやすい
花王 ヘアケアサイト「頭皮の皮脂の挙動とトラブル」「頭皮のトラブルを防ぐには」をもとに作成。移る時間は気温・湿度・皮脂の量で変わります

これからの季節、冬のほうが頭皮に皮脂が残りやすい

意外かもしれませんが、頭皮の上に残る皮脂は、夏より冬のほうが多いと花王は報告しています。夏は皮脂がやわらかく、汗とまじって髪へ移りやすい。冬は固まりやすい皮脂が多く、頭皮にとどまりやすい。赤みやフケが冬に多いのは、乾いた空気に加えて、このためでもあります。寒くなると洗う時間が短くなりがちですが、すすぎまで丁寧に、を意識してください。

03年齢とともに、頭皮はどう変わる?

花王は、髪や頭皮の年齢による変化は30歳ごろから感じはじめる、としています。頭皮は少しずつ薄く、硬く、動きにくくなり、皮脂の量は減る傾向です。ただし、室温で固まっている皮脂の割合が増え、汗をかく機会も減るので、皮脂が頭皮に残りやすくなると考えられています。

「年齢とともに、頭のにおいが気になる」「皮脂は減っているはずなのに、根元がべたつく」という声があるのは、このためです。髪が細く少なくなると、皮脂が移っていく髪の表面が減るので、同じ量の皮脂でも頭皮に残りやすくなる、とも説明されています。

40代、50代のスカルプケアは、強く洗うことより、残さず洗って、残さずすすぐこと。そして、硬くなりやすい頭皮を、ときどき手で動かしてあげることです。頭皮の硬さが気になる方は、頭皮が硬いときのセルフチェックの記事も参考にしてください。

04スカルプケアの基本:洗い方とすすぎ方

花王が「頭皮クレンジングのポイント」として挙げている手順を、家でそのまま使える形に並べました。いつものシャンプーのままで、今夜から試せます。

  1. 髪と頭皮を、しっかり濡らす地肌までお湯を通しておくと、シャンプーが行き渡りやすくなります。
  2. シャンプーは、こめかみの奥と後頭部につける髪の重なりが多く、泡が届きにくい場所です。頭のてっぺんにだけのせて広げると、ここが残ります。
  3. 泡が地肌まで届いているか、指でさわって確かめる皮脂などの油分に対して洗う成分が足りないと、泡は消えてしまいます。泡が少ないと感じたら、量を少し足します。
  4. 指の腹で、地肌を洗う爪は立てません。髪どうしをこすり合わせず、地肌の上で指を動かします。
  5. すすぐ前に、30秒ほど頭皮をもむ泡が行き渡ったら、手のひらで頭をはさんだり、指で頭皮をつかむようにして、押しながらもみほぐします。こすらずに、手の位置を変えて全体へ。
  6. ぬるつきがなくなるまで、すすぐ指で頭皮と根元に触れながら流します。花王は、温度はやや高めのほうがすっきりすすげるとしています。
シャンプー台で、手のひらにとった泡をお客様の髪になじませる前の様子
泡は、髪の重なりが多いこめかみの奥や後頭部の地肌から届けます

洗い残し・すすぎ残しが多い場所

洗い残しやすい

こめかみの奥
髪が重なり、泡が届きにくい
耳の上
指が入りにくい
耳のうしろの後頭部
見えず、手が回りにくい

すすぎ残しやすい

耳のうしろ
すすぎのお湯の通り道。髪のない部分もさわって流す
えり足
同じ姿勢のままだと、お湯が当たりにくい
頭頂
泡が残っていても気づきにくい

花王の調査では、シャンプーを泡立てて頭皮をマッサージしていても、すすぐときには頭皮にほとんど触れていない人が多く、すすぎの時間も、泡を行き渡らせる時間よりかなり短い傾向でした。せっかく泡でとらえた皮脂も、流しきれなければ頭皮に残ります。すすぎは、洗う時間と同じくらいか、それ以上を目安にしてください。少し首をかたむけると、後頭部やえり足が流しやすくなります。

お湯だけ(湯シャン)では、足りない理由

頭皮の皮脂や、皮脂が変わった脂肪酸は油の性質を持ち、水やお湯になじみにくいものです。花王によると、皮脂の中には40℃以上でも固まったままのものがあり、お湯だけでは流しきれません。シャンプーの洗う成分でとらえて、水になじませてから流す。これがシャンプーの役目です。

05シャンプーや道具は、どう選ぶ?

「スカルプケア用」と書かれたシャンプーでなければいけない、ということはありません。花王が洗いやすいシャンプーの条件として挙げているのは、次のような点です。

  • なめらかで、頭皮まで届けやすく、広げやすい泡
  • つけたときからすすぎ終わるまで、髪がきしまない
  • 頭皮に広げたときに気持ちよく、マッサージしやすい

泡は、髪と髪のあいだのクッションにもなり、洗うときのこすれから髪を守ります。今のシャンプーで地肌まで泡が届き、すすいだあとにぬるつきが残らないなら、無理に替えなくてかまいません。

汗をかいた日は、そのまま放っておかないことも大切です。汗が残ると菌がふえやすく、かゆみやにおいのもとになる成分ができやすくなります。夜に洗うまで時間があるときは、地肌の汗を軽くふき取っておきましょう。

頭皮をほぐす手順は、頭皮マッサージのやり方|1日1分の3ステップにまとめています。頭皮だけでなく、顔までつなげてお手入れしたい方には、家で使える美容液もあります。

06スカルプケアを休んで、相談したいとき

こんなときは、お手入れを強めるより先に皮膚科へ

  • かゆみや赤みが何日も続く、ひどくなっていく
  • 湿疹・ぶつぶつ・ただれ・強いフケがある
  • 急に抜け毛が増えた、地肌が透けて見える所が広がった
  • 白髪染めのあとに、かゆみ・赤み・腫れが出た

スカルプケアは、すこやかな頭皮を保つためのお手入れです。症状があるときは、病院で原因を確かめてください。

頭皮が乾いてかさつくと、洗うのを控えたくなる方もいます。花王は、古い皮脂から生まれた刺激のもとが、かえって頭皮の荒れやフケにつながることがあるとして、やさしく、洗い残し・すすぎ残しのないように洗うことを勧めています。乾燥とフケの見分け方は、頭皮の乾燥とフケの記事で説明しています。

07美容室でのスカルプケア:自分では見えない所を見る

家のお手入れの強みは、毎日できること。美容室の強みは、自分では見えない地肌を見てもらえること、洗いにくい場所まで洗ってもらえること、横になって何もしない時間をとれることです。

マイクロスコープで拡大した、地肌と髪の根元
自分では見えない地肌も、拡大するといまの状態が分かります

LUJUでは、カウンセリングのときにマイクロスコープで頭皮を拡大した写真を見ながら、その日の地肌をいっしょに確認します。赤みや傷がある日は、無理をしない提案もします。

ヘッドスパだけの単品メニューはありません。頭皮のケアをゆっくり受けたい方には、若返りヘッドスパとララピールを組み合わせたリラックスケアコース(約2時間・はじめての方 19,800円・税別)があります。くわしくはリラックスケアコースのページをご覧ください。美容室のヘッドスパと専門店の違いは、ヘッドスパ専門店と美容室の違いにまとめました。

08よくある質問

スカルプケアとは、簡単に言うと何ですか?

頭皮のお手入れのことです。中心は、皮脂や汗を頭皮に長く残さない洗い方・すすぎ方と、頭皮を動かしてほぐすことの2つです。専用の商品を使うことだけを指す言葉ではありません。

毎日シャンプーしてもいいですか?

かまいません。洗い方が合っていれば、毎日洗って皮脂や汗を頭皮に残さないことが、かゆみやにおいを防ぐ助けになると花王は説明しています。強くこする、爪を立てる、は避けてください。

お湯だけで洗う「湯シャン」でもスカルプケアになりますか?

頭皮の皮脂には40℃以上でも固まったままのものがあり、お湯だけでは落としきれないと花王は説明しています。皮脂を残さないという点では、シャンプーを使って洗うほうが確実です。

スカルプケアをすると、薄毛や抜け毛は治りますか?

スカルプケアは頭皮をすこやかに保つお手入れで、薄毛や抜け毛を治すものではありません。急に抜け毛が増えたときは、皮膚科で相談してください。女性の抜け毛については40代女性の抜け毛の記事にまとめています。

毎日洗っているのに、頭がかゆくなります。

洗い残しやすすぎ残しがあると、残った皮脂が刺激のもとに変わり、かゆみの原因になることがあります。こめかみの奥や後頭部まで泡を届け、耳のうしろやえり足を意識してすすいでみてください。それでも続くときや、赤み・湿疹があるときは皮膚科へ。

シャンプー台で髪を洗っている様子

LUJU 銀座

頭皮と顔を、
まとめて整える日に。

若返りヘッドスパと、顔のララピール。
はじめての方 19,800円(税別)・約2時間

ヘッドスパのコースを詳しく見るLINEで空き時間を見る
美容師 中村一成

この記事を書いた人

中村一成

銀座の美容室LUJU代表・美容師15年目

銀座の美容室LUJU(ルジュ)代表。美容師15年目で、これまで1万人以上の髪と顔に触れてきました。髪と肌を一緒に見る美容師として、地肌を守る白髪染めと、肌を育てるケアを続けています。Instagramのフォロワーは16.5万人。『美ST』2025年3月号に掲載。

Instagramを見る(@nakamura_luju_wellaging)

参考にした資料

  1. 花王 ヘアケアサイト「頭皮のキホンと年齢変化、効果的な洗浄のコツ」
    https://www.kao.com/jp/haircare/health-of-scalp/20-1/
  2. 花王 ヘアケアサイト「頭皮のしくみ」
    https://www.kao.com/jp/haircare/scalp/5-1/
  3. 花王 ヘアケアサイト「頭皮の皮脂の挙動とトラブル」
    https://www.kao.com/jp/haircare/scalp/5-3/
  4. 花王 ヘアケアサイト「頭皮のトラブルを防ぐには」
    https://www.kao.com/jp/haircare/scalp/5-4/
  5. 花王 ヘアケアサイト「頭皮洗浄の効果と実態」「頭皮のQ&A」
    https://www.kao.com/jp/haircare/scalp/5-5/